「ひどい熱でしょう?救急車を呼んだほうがいいって言ったんだけどね?この子が嫌がって。」
おばあちゃんの言葉に先輩が私を見つめる。

「・・・デイサービスの送迎車があと・・・少しで来ます・・・支度は終わってます・・・キッチン・・・お願いします・・・」
何とか絞りだした言葉。
ちゃんと伝わると確信しているのは日ごろからの私たちの仕事でのコミュニケーションのたまものだと思う。

「おばあちゃんは心配せずにデイサービスに行ってください。申し遅れましたが、わたくし美羽さんの職場で一緒の黒谷修平と申します。私が責任もって、美羽さんを病院にお連れしますので、ご安心ください。仕事で最近無理をさせてしまった私の責任でもありますので、しっかりと必要な治療をしてもらえるように、先生にお願いしますから。」
おばあちゃんを安心させるような言葉を言う先輩に私はすべて大丈夫だとわかり、意識を手放した。