玄関の呼び鈴が鳴り、少し乱暴に玄関の扉をノックする音が聞こえた瞬間、全身から一気に残っていた力が抜けた。

ゆっくりとした足取りで玄関に向かうおばあちゃんのうしろ姿を目で追う。

玄関の扉があいた瞬間、先輩の姿が見えて、私は流れていた涙の速度が一気に早まる。

「せんぱ・・・」
大きな体。

長い足を数歩進めるだけで廊下に倒れている私のすぐ隣にたどりつく先輩。
少し汗ばんでいる額が、どれだけ急いできてくれたのかを伝えた。

心配そうな顔のまま、私を見つめて、額に手をあてる先輩。
「熱すぎだろ。」
そう言って、先輩は私の体を抱き上げた。