あなたの左手、 私の右手。

私が先輩が私に気遣って頼まなかった仕事を先回りして仕上げると、先輩はいつも怒った。
無理するなと。

それは私を気遣ってだと十分わかっているからこそ、そんな先輩からの言葉が私は温かく感じる。

「今日は戻れって言ったのに。」
「大丈夫です。今日はおばあちゃんショートステイだし。仕事もちゃんとやりたいんです。」
これから先、この生活を続けていかなければならない。

私がそうしたいと選んだ道だ。

おばあちゃんと一緒に暮らすことは譲れない。
週に一日のショートステイだって心が痛むけれど、まだまだ長生きしてもらうために、私が収入も得ないと。それに、【ASAKAWA】で仕事をするのはおばあちゃんのたっての希望でもあった。

ちゃんと全うしたい。

「いつもほとんど寝ないでいるんだろう。仕事セーブさせようとしても、お前いつもどんどん仕事とってくし。」
「大丈夫です。仕事も、先輩からいろいろ学んで頑張りたいんです。」
先輩は小さくため息をついてから看板をつける作業に再び戻った。