あなたの左手、 私の右手。

45階に着くころには人が減っていて、普通に立っていられる状態だった。

様々な階で止まるエレベーターは意外と45階までたどり着くのに時間がかかった。

40階でエレベーターがとまるとさらにたくさんの人が降りて、エレベーター内はかさっとした状態だった。邪魔にならないように中央に近い位置に立っていた私はそっと壁際に寄る。

「あ・・」
壁際により、エレベーター内の全体像が見えた時、同じエレベーター内に朝私を満員電車で助けてくれた人を見つけた。

思わず静かなエレベーター内で声をあげた私。

「どうも」
その男性は私の声に気づき私の方を見ながら、小さく頭を下げた。

「今朝は本当にお世話になりました。」
私はその男性よりも深く頭を下げる。