あなたの左手、 私の右手。

「先輩・・・」
私は残りの力を振り絞って、先輩の方に近づく。
「すみません。休みなのに。」
「ばか、何言ってんだよ。」
先輩はかなり急いできてくれたのだろう。
連絡してからまだ10分も経っていない。

「家の・・・鍵・・・閉めるの忘れちゃって・・・」
私は先輩の前を通り過ぎ、家の玄関の方に向かう。

走り回ってきたからだろうか。
まだ緊張しているからだろうか。
先輩の顔を見たら一気に力が抜けて泣きそうだった。

そんな自分をごまかすように、先輩の目を見ないまま玄関に視線を向ける。

「赤名。」
目の前を通り過ぎようとする先輩が私の手をつかんだ。