あなたの左手、 私の右手。

「おばあちゃん、ごめんね。」
ショートステイから戻ってきたおばあちゃん。
「ゆっくり眠れた?」
送迎車から降りて来たおばあちゃんは少し疲れた顔をしている。
「ごめんね。疲れたでしょう。」
足の悪いおばあちゃんの手をとり、支えながら車を降りるのを手伝うと、おばあちゃんは私の方を不思議そうに見る。

「きれいなお嬢さんね」
その言葉に私は一瞬動きを止めてしまう。

でも、おばあちゃんが最近痴呆が進んでいることには気づいていた。
病院の先生からも無理に過去を思い出させようとしたり、過剰に反応することはよくないと言われていることを思い出して、急いで平静を装う。

「そう?」
ごまかしながらおばあちゃんの方を見れずに、おばあちゃんが家に入るのを手伝うと、デイサービスの職員の人が私に近づき言った。