あなたの左手、 私の右手。

先輩の見慣れない姿に、どきどきしながら部屋の玄関に向かうと先輩もついてくる。

「じゃあ、支度してきます。」
「了解。」
振り向いて小さく頭を下げると、先輩が私の頭に自分の手をポンと置いた。

「大丈夫か?」
その一言に、いろいろな思いも、背負っているものも一瞬で溢れそうになる。

魔法にかけられたみたいな言葉。

不思議な感覚に、私は少し泣きそうだった。

「大丈夫です。ありがとうございます。」
先輩を心配させないように、これ以上気を遣わないように、すぐに表情を取り繕う。