私は彼とあくまでも友達になりたい

side 花園ここな

私は、彰人と別れてから一人ファミレスの中にいた。
そして、さっきまでのことを思い出していた。

私は彰人のことが好きだった。出会った時からずっと。小学校二年生の時くらいかな?

だから、二人きりになった階段の踊り場で告白しようとした。

「話したいことがある。」私はそう言った。

でも、彰人は、

「ごめん、好きな人が呼んでるから。行かないと。」

まっすぐ私の目を見てそう言った。
ああ、きっと私以上に彰人のことを幸せに出来る人に出会ってしまったのだろう、と思った。
だからこそ、私はあんなことを言ってしまったのだ。

「…彰人、あんたもしかして、私の話、告白かなんかと勘違いしてない?

違うわよ。失恋したって話がしたかったの。
無気力なくせに、どうにもほっとけない魅力があって、なんでもできる、そんな人が好きだったの。
ずーっと幸せにしてあげたかった。その人から幸せをたくさん分けてもらったから。結局、全然私の好意には振り向いてくれなかったけど。

…で、その人に好きな人ができたんだと。
きっと私よりその子はその人のことを幸せに出来るってなんとなく思ったの。

…ま、それだけだから、好きな人のところに行っちゃいな。彰人。私は帰るからさ。」

口から出た言葉はそれだった。それは心の底からの言葉だったと思う。


──そして今に至る。

本当にずーっと好きだった。でも、好きは長さでも重さでも勝ち負けはつかなくて。
結局のところ好きに答えてもらえた人が勝ちで。

あーあ。恋愛って難しいな。
人生最初の失恋をした私はそんなことを考える。

もう今日はデザートやけ食いしかない。
そう思い、呼び出しのベルを鳴らした。