私は彼とあくまでも友達になりたい

「一体何に泣いてんの?」

千夏は私にそう言い放つ。
冷たい言葉だと思った。

「そんなの、わかんない。でも涙が出るの!」

私がそう叫ぶ。それは心の底からの言葉だった。
最近私、やっぱり変だ。気持ちは矛盾してるし、嫉妬だって数えられないくらいしている。

そうやって泣きじゃくる私に、千夏は深いため息をつき、

「あのね、恋する乙女が泣いていいのは、失恋した時だけなの。
あんた、失恋してんの?残念ながら、それは勝手な思い込みよ。」

ぐうの音も出ないほどの正論だった。
たしかに、あの二人が付き合ってるかどうかの真偽も知らないし、弥生くんの本当に好きな人も私は知らない。

何も言い返せない私。

黙る私に、千夏は、

「私の情報網によると、ここなちゃん?は今日、告白する予定で、今から告白するらしいわよ。ここの裏庭で。

…まだ体力ある?それなら全力で走りなさい。
この恋に一片の悔いなし、なんでしょ?」

と言った。
その言葉に私の中で何かが弾けた。
吹っ切れたともいうかもしれない。

振られるだろう。絶対。

でも、この思いを伝えずに空中分解できるはずがない!

「…わかった。行ってくるよ。」

私は立ち上がり、親友の目を見た。

「…それでこそ、私の"親友"ってところかしらね。」

千夏は笑っていた。