一組を見終わった後、また校内をぶらぶらする。多目的ホールでオーケストラやるらしいよーなんて話しながら。そのときはまだ楽しかった。
──けど、見てしまった。見たくない二人の姿を。
「彰人!今から、オーケストラ部の演奏あるって。見に行かない?」
「ここな。ひっつきすぎ。離れてくれない?」
「えー、いいじゃん!私と彰人の仲だしさ。」
弥生くんにひっつく、ここなちゃんの姿を。
ここなちゃんは、茶色の髪をくるんとさせていて、目はほんのり釣り上がり気味。誰がどう見ても美人と言うだろう。
また、弥生くんと腕を絡ませて歩く二人の姿はさながらカップルのようだった。
私は、そんな二人の姿を見て、耳と頭がキンッと鳴った。
目の前がぐるぐるして何も考えられなかった。
千夏と英奈ちゃんが声をかけてくれていた気がするけど、気づくと私は千夏と英奈ちゃんをほっぽいて、無我夢中で走り出していた。
そうだよね。お似合いの二人に私の出る幕はないよね。
そんなことを思いながら。
私は泣いていた。気づくと、走りに走った先──図書室の目の前に立っていた。何故だかわからないけど、図書室を目指して走ってきたようだ。
もしかしたら、弥生くんとの思い出が詰まってるからかもしれない。
図書室では現在、文芸部の展示が行われているが、人は中にいなかった。
私は図書室の中に足を踏み入れ、しゃがみ込み、また泣いた。
何泣いてんだろ、と思いながら。
そこから数分経ったとき、私に声をかける人影があった。
「…いつまで泣いてんの?」
私はその透き通るソプラノボイスをよく知っている。
「…千夏。」
──けど、見てしまった。見たくない二人の姿を。
「彰人!今から、オーケストラ部の演奏あるって。見に行かない?」
「ここな。ひっつきすぎ。離れてくれない?」
「えー、いいじゃん!私と彰人の仲だしさ。」
弥生くんにひっつく、ここなちゃんの姿を。
ここなちゃんは、茶色の髪をくるんとさせていて、目はほんのり釣り上がり気味。誰がどう見ても美人と言うだろう。
また、弥生くんと腕を絡ませて歩く二人の姿はさながらカップルのようだった。
私は、そんな二人の姿を見て、耳と頭がキンッと鳴った。
目の前がぐるぐるして何も考えられなかった。
千夏と英奈ちゃんが声をかけてくれていた気がするけど、気づくと私は千夏と英奈ちゃんをほっぽいて、無我夢中で走り出していた。
そうだよね。お似合いの二人に私の出る幕はないよね。
そんなことを思いながら。
私は泣いていた。気づくと、走りに走った先──図書室の目の前に立っていた。何故だかわからないけど、図書室を目指して走ってきたようだ。
もしかしたら、弥生くんとの思い出が詰まってるからかもしれない。
図書室では現在、文芸部の展示が行われているが、人は中にいなかった。
私は図書室の中に足を踏み入れ、しゃがみ込み、また泣いた。
何泣いてんだろ、と思いながら。
そこから数分経ったとき、私に声をかける人影があった。
「…いつまで泣いてんの?」
私はその透き通るソプラノボイスをよく知っている。
「…千夏。」
