「…別にいいけど。お前、友達多いのに、なんで俺に頼むんだよ。」

弥生くんは私に聞いた。

「えっと、そうだなぁ。弥生くんと仲良くなりたいから、かな?
私ね、高校入って、友達100人作るって目標があるの。それで、100人目は弥生くんって決めてるの。」

「ふうん。それで俺のこと今まで構ってたんだ。
…で、なんでまた俺なわけ?」

今日の弥生くんはいっぱい質問してくるなぁ。
そう思いながら、

「えっと…。弥生くんが素敵な人だと初めてすれ違ったときに思ったのがきっかけで、今もどんどんその思いは強くなってるよ。」

私はそのときのことを思い出しながら言った。

「…俺も、初めてすれ違った時、西窪のこといいなって思ったよ。」

弥生くんはどこか遠くの方を見つめながら言った。

「ほんと?こんな私を?」

弥生くんに急にそんなこと言われて、自分に自信がない私は目をパチクリ。
そんな私を見た弥生くんは、

「ほんと西窪は鈍いな。」

と聞こえるか聞こえないかくらいの音量で呟き、

「…で、何?勉強?いいよ。やろうか。」

と言った。そして、


「…わからないとこどこ?教えて?」


弥生くんは私に近づいて、そう言った。
耳に吐息がかかってこそばゆかった。