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side 福井春樹

俺は、図書室の前をたまたま通った。

そこにはキスをする二人の影が見えた。

あいつらが窮地に陥って、そこからより絆を深めたことに対する、悔しさと、僅かな嬉しさ。
でも、こんなところ見たくなかったという悲しさ。

西窪は、あいつのことを、『彰人くん』と呼ぶ。

俺も『春樹くん』と呼ばれたかったのはただの願望でしかない。

もう、身を引いた恋だ。何を言っても仕方ない。
まぁ、もちろん、西窪をまた泣かせるようなことがあったら容赦しねぇけどな。

とにかく、幸せになれよ。俺の"好きだった人"。