近くの公園のベンチに座る私たち。
ベンチに積もっていたであろう雪はすでに溶けていたから、気にせずに座った。

「目、つむって?」

彰人くんは、アクセサリーをつけたいからと、そう促した。

「…うん。」

彰人くんがつけてくれるんだとドキドキしながら目をつむった。

袋のガサガサ音が聞こえる。

そして、

私の耳にこそばゆいような甘いような感覚が走る。
彰人くんがイヤーカフスをつけようとしたのだろう。

「ひゃっ…!」

変な声が出る。自分でも自分の声に驚いた。

「へぇ、梨花。耳弱いんだ。
…ま、たしかに、いつも耳元で囁いたら顔赤くなるもんね。」

目をつむってるから分かんないけど、これだけはわかる。絶対意地悪な顔してる。

「…そ、そうみたい?」

私のその言葉は無理矢理絞り出したみたいな声だった。