何しろ、そんなに広くない店内。
彰人くんの元へはすぐにたどりついた。

「彰人くん、私は、これがいい、です。」

小さな商品を両手で掴んで、彰人くんに差し出す。
彰人くんは、へぇ、と言い、

「俺も、これ欲しいかも。」

と言った。

「わかる!綺麗だもんね。」

私は彰人くんに言う。

「多分、これ梨の花だよ。モチーフになってるの。」

「え!そうなの?」

私は、彰人くんに聞く。

「うん。りんごの花にも見えなくないけど、石の色が緑系だから梨かなって。梨の花…ふふっ。梨花、これ取ってくるってことは、自分のこと意外と大好きだったりする?」

違うと言いたかったけど、彰人くんが好きだと言ってくれる私を否定したくないと言う気持ちもあった。だから、

「…彰人くんはいつもずるいよね。」

そんな言葉が出た。
彰人くんは、

「そうかもね。」

と笑っていた。

「これ、もう一個取ってきてもらってもいい?俺も買う。」

彰人くんは、私を動かすのが上手だと思う。
彰人くんに頼まれたら、勝手に体が動くんだもん。

やっぱり、彰人くんはずるい…。