私たちはそんな調子でずっと歩いた末、『vanilla essence』の前につく。

白を基調とした、落ち着いた外観。ガラス張りの扉から見える店内には、シルバーやゴールドの輝きが反射していた。

彰人くんが扉を押す。いらっしゃいませー、と中から綺麗な女の人の声が聞こえる。

アクセサリーが一気に目に飛び込んでくる。
どれもこれも繊細な作りでつい目移りしてしまう。

あ、ネックレス、綺麗だなぁ…。

私はまず目に飛び込んできたネックレスのコーナーに目を奪われる。

しかし、値札を見て、そっと他のコーナーに目を向ける。バイトしてる人にはいいかもしれないけど、お小遣い勢の私には少し財布に優しくないお値段だった。

他のアクセサリーももちろん素敵だし、ネックレスじゃなくてもいいや。

そう思い、イヤリングやピアスが並んでるコーナーに行く。こちらは先ほどと違って、財布に優しい値段だった。これなら…と思い、手を伸ばそうとしたとき、

「ねぇ。」

彰人くんに声をかけられた。

「梨花の好きなやつ一個と俺が梨花に似合うと思ったやつ一個、梨花にプレゼントってのはどう?」

彰人くんはそう言った。

え?その、つまりは2個もアクセサリーを買ってくれるというわけで、それは財布にとっては優しくない行為なわけで…。

「本当にいいの?」

私は聞く。
すると彰人くんは、

「いいよ。梨花は遠慮しないで。俺がそうしたいからそうするだけだから。」

首をこてんとさせながら笑っている彰人くん。

「…じゃあ、お言葉に甘えて。」

私はほっぺを赤くしてそう言った。