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サクサクと雪を踏む二人の足音が響く帰り道。
先程、コンビニで買ったホットココアを二人飲みながら帰る。

「寒いねぇ。」

そんなことを私が呟く。
手袋、マフラー、コートと、私は完全装備だった。それでも寒いということはそういうことなのだろう。

「寒いけどさ、俺、今日はもっと梨花と一緒にいたいなぁ。」

彰人くんが言う。
なんでそういうセリフを恥ずかしげも無く言えちゃうんだろ…。
そんなこと言われたら、うん、としか言えないじゃないか。

「…どこ行くの?」

私は聞く。

「梨花、明日誕生日でしょ?そのお祝いも兼ねてどこか行かない?ほら、当日は家族と過ごしたいだろ?それも含めて今日一緒にいられたらなって思ったんだけど…。」

彰人くんはマフラーで口元を隠しながら言う。

──知っててくれたんだ。私の誕生日。

私自身、教えた覚えはないけれど、多分、メッセージアプリのプロフィール欄のところから見たんだろうなぁ。

ま、私も見て確認してるし、カップルってそういうものなんだろう。

にしても、どこに行こう?

そんな時、また今朝、たまたま出会った千夏から聞いた話を思い出す。

「学校の近くにできた、『vanilla essence』っていう、アクセサリー屋さんがすごくいいの!値段もピンからキリまであって、しかもどれも可愛いの!」

確か、そう言っていた。
行ってみたいなと思っていたので、丁度いいかなっと思って、

「私、行きたいお店があるんだ。」

私も口元をマフラーで隠して言った。

「どこでも行くよ。」

彰人くんは笑っていた。