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side 弥生彰人

バスが角を曲がってすぐ、俺はその場にしゃがみ込む。

先程、梨花にキスするときにも同じ姿勢をしたが、それとは違う理由だった。

照れた顔も、キスしようと頑張る顔も、はにかんだ顔も、拗ねた顔も…。
全部可愛い梨花に、俺は毎度毎度嬉しくなること。
…それこそ、照れてしまうことを梨花は知らない。

普段通りに振る舞うので、今日も精一杯だった。

しんしんと降る雪は、俺の肩を濡らした。
明日は雪が積もるだろうか。

そうしたら、梨花はどんな顔をするんだろ?

俺は、明日のことが楽しみで仕方なかった。