結局、私は図書室に行かずに帰ってきた。

気持ちが整理できてない今、彰人くんに会いたくなかった。

家には誰もいなかった。

私は制服のままソファに顔を(うず)めた。

涙が不思議なくらい流れ出る。

──涙を流す、か。

そういえば、彰人くんが前に話してたなぁ。
『彰人くんのことを好きになった人は、必ず一度以上涙を流す。』だったっけ?

ほんとだね。彰人くんのこと好きになって、いろんな感情を知って、こんなに泣いて。

でも、それでも、彰人くんのこと好きな私は変なのかな?

流れる涙は止まらない。

──ねぇ、彰人くん。今までの甘い言葉はなんだったの?