彰人くんの話はそうやって締め括られた。

私はなんて言おうか迷う暇もなく、叫んでいた。

「そのくらいで、誰が彰人くんのことを嫌いになるもんですか!」

そして、私は少し前に彰人くんがやってくれたみたいに、両ほっぺを摘んで、

「ネガティブ退散!」

と言った。

「彰人くん、親友の話言ってたけど、彰人くんは悪くないじゃん!
まぁ、そりゃ彰人くん主観の話だから、他視点から見たら、悪者かもしれないけど。
私はいつだって、彰人くんの味方だよ!
それに、泣くことになる?私の涙なんて安いものよ!」

私は思ったことを一気に捲し立てた。自分でも自分がこんなこと言える人間だと思ってなかったからびっくりした。

「梨花…。」

彰人くんは言葉を失っているのか、私の名前を呼んだきり、俯いてしまう。

そして、

「そうだよな。ネガティブな話して悪かったよ。この間、梨花にネガティブになってない?って言ったのに、ネガティブになってたのは俺だったみたい。」

と言い、顔を上げた。

「…あのさ、次の試合のシードに颯太がいる高校とあたるんだよ。
俺、そのときに誤解解こうと思っててさ。
なぁ、梨花。恥ずかしい話なんだけど、着いてきてくれない?」

私は、「もちろん!」と自分の胸を叩きながら言った。

「ところで、梨花。」

「なーに?」

「…いつまで、俺の頬摘んでるわけ?」

「あ。」

私は慌てて、両手を離す。
彰人くんはふふっと笑っていた。