私は彼とあくまでも友達になりたい

福井くんのことが気になったけど、私が走る順番は虚しくも来た。

私は位置につき、スタートダッシュの姿勢をとる。何の札を引くのだろうかとドキドキしながら。

ドンッとピストルの音が鳴り、私はすぐに地面を蹴った。

そして、7メートルくらい先にある札を引いた。
私の引いた札には


『赤ハチマキ』


そう書いてあった。
私の頭の中にはもちろん彰人くんの姿が浮かんだ。

…でも。

人の目がある今、それはどうなのか？
どうしてもその思考回路を通る。

それに、一番近いところにいる、赤ハチマキの子に頼むのが無難だろう。

「ひなちゃん！」

私は一番近くにいた赤ハチマキの子、ひなちゃんに声をかける。ひなちゃんは今、競技中の生徒の写真を撮っていた。多分、体育祭運営委員の仕事なのだろう。

「赤ハチマキ貸して！」

ひなちゃんは、急に話しかけてきた私にびっくりしたようだが、いいよ！と快くハチマキを貸してくれた。

よし、あとはゴールに向かって走るだけ。