私は彼とあくまでも友達になりたい

***

「遅いぞー。西窪ー。」

「ご、ごめん。」

福井くんに言われて、私は息切れしながら謝った。
そして、指定場所に座った。福井くんの隣だった。

今から走るのかと思うとドキドキするなぁ…。

「…なぁ。」

隣に座る福井くんは私に声をかけた。なーに?と私は笑顔で返す。

「…西窪ってさ。弥生と付き合ってんの?」

その言葉は私以外には聞こえないほど小さい声だったと思う。
けれど、私にとってはとても大きな声に聞こえた。

「…どうしてそう思うの?」

私は出来るだけ平然なフリをして他の人には聞こえないほど小さな声で言った。
福井くんは私の質問には答えずに、

「否定しないってことはそういうことなんだな。」

と言った。

そして、その言葉と同時に、笛の音がなる。
走るのは女子、男子の順なので、私は立ち上がった。

福井くんの顔を見ると、何を考えているのかよくわからない顔をしていた。
まるで、福井くんじゃないみたいだと思った。