男女4人ずつ 集まる予定の 合コン。


私達が お店に着いた時は

もう 半分の人が 来ていた。


「あっ。千明。久しぶり。」

個室風に 仕切られた席に 案内されて。

華やかな美人が 宇佐美さんを呼ぶ。


「ゴメン 遅かった?」

「ううん。大丈夫。私達が 早かっただけ。女子は これで全員だね。」

「そう。紹介するね。同じ職場の 星野さん。」


「こんばんは。今日は よろしくお願いします。」

私は まず 女性陣に 挨拶をした。


「千明の後輩?若いんだ…星野さん 下の名前は?」

「あず美です。」

「へぇ。あず美ちゃんか。可愛いね。」


私は ここで 彼を見つける気は なかったから。

せめて 宇佐美さんの友達に

失礼にならないようにと 思っていた。


先に来ていた 男性は2人。


私は 軽く会釈だけして。

大人しく 宇佐美さんの隣に 座った。


きっと 全員揃ったら 自己紹介するはずだから。


宇佐美さんが 他の女性と 賑やかに 話している間。

私は 薄笑いを浮かべて みんなの話しを 聞き。


「すみません。お待たせして…」

少しして 男性が2人 連れだって 入ってくる。

「おお。これで 全員 揃ったね。」


幹事らしい男性が 笑顔で言うけど。

私は 最後に来た 男性を見て 凍りついた。


『タケル…どうして?』

大学生の頃 付き合っていた 野本 武尊。


タケルも 私を見て ハッとしている。


「よーし。じゃ 乾杯してから 自己紹介ね。」

陽気な 幹事の声が 耳の奥に こだまして。


硬い表情の私を いぶかし気に見る 宇佐美さんに

引きつった笑顔を 返して。


取り合えず 場の雰囲気を 壊したらいけない…


やっぱり 来なければよかった。

でも もう遅い…


タケルに 会ってしまったのだから。