何度も 2人で 会っていたのに。
旅行だから…?
名前を 呼び合ったから…?
手を繋いだから…?
仕事帰りに 待ち合わせて 食事をする時とは 全然違って。
デートっぽい 雰囲気が 恥ずかしいほど 照れくさくて。
「何 食べようか?」
メニューを見るふりをして 前髪の隙間から 翔真を除く。
「結構 お腹空いたよなぁ…」
「うん…」
翔真の声に 頷きながら。
今夜 私は 翔真に 抱かれるのかなぁ…
ドキドキする心と 冷静な心が 入り乱れて。
これが 大人の恋なの?
計算って 美香は 言ったけど。
タケルと 付き合っていた時とは 違う気持ちに
戸惑ったまま 翔真に 笑顔を向ける 私。
「私も 同じで。」
「んっ?」
「翔真さんと…」
スムーズに 名前が呼べない 私に
わざと 名前を呼ばせる 翔真。
こういう感じ ちょっと いいかも…
私 翔真のこと 好きかもしれない。
今更 翔真を 見つめる私は
今までで 一番 翔真を 愛しいと思っていた。



