「でもさ。あず美が 合コンとか 珍しいね。」

さくらは 私が 話しやすいような 言葉を挟む。


穏やかで おっとりしている さくらは

おとなしいと 思われがちだけど。


実は きちんと 自分を持っていて。

4人の中で 一番 意思が強い。


「うん。断ったんだけど。人数が足りないから どうしてもって 宇佐美さんに 言われて。笑顔で 座っていてくれれば いいからって…」


「それ ちょっと失礼じゃない?あず美のこと 何だと思ってるの!」

美香が 怒った顔で 3人を見る。


感情を 真っ直ぐに表す 美香は

反感を買われやすくて 敵も多いけど。


本当は 情が厚くて 友達思い。


「あっ。私 ずっと彼氏いないって 言ってたから。宇佐美さん 心配して 誘ってくれたの。」


「先輩に 無理強いされたら 断りずらいよね、あず美としても。毎日 一緒に 仕事するわけだし。」

芙由子は 優しい笑顔で 私を見て 頷いた。


常識的で 気配り上手な 芙由子は

男性に 人気があるけど。


本当は とても天然で

突然 大胆なことをして 私達を 驚かす。



そして 私は いつも 何か足りないような。

何かに 追われているように 焦っていた。


仕事は 順調だし。

別に 困っていることは ないのに…


何者でもない 自分への 焦燥感。


今の私は 本当の私なの?

このまま 私は 終わってしまうの?


光の当たる場所を 探して

歩いている つもりなのに。


いつの間にか いつも暗い路地に 迷い込んでしまう。