男性と 2人きりで 食事をするなんて

タケル以外では 初めてだから。


宇佐美さんが 言っていたように

すっかり 恋愛勘が 鈍っている私なのに。


自分でも 驚くほど リラックスできて。

上原さんとの 時間は 心地良く 過ぎていく。


ドキドキするとか 胸が熱くなるとか

そういうことは なかったけど。


初めて 2人で会った人と 

こんなに 自然に過ごせるなんて。


奇跡的……?


この人となら もう少し 話していたい。


自分が 思い描いていた 恋愛感情と

あまりにも 違う思いだったから。


私は それを 好意だって 認識できなかったけど。


上原さんの 笑顔は ずっと柔らかくて。


「あず美ちゃん 美味しそうに 食べるね。」

「そうですか? 私 食いしん坊なんです。」


「すごく細いけど ダイエットとか 気にならないの?」

「太りにくい質なのかな。でも そんなに細く ないですよ?」


「美味しそうに 食べるのって 気持ち良いよね。」

「フフッ。上原さんも。結構 食べる方ですよね?」


「俺は 男だから。」

「男性でも 小食の人って いますよ? 私よりも 少ししか 食べない人とか。」


「確かに… ハハッ。あず美ちゃんよりも 小食の男性も いるかも…」


「ひどいなぁ… そこは 否定して下さい。嘘でも。」


少し 頬を膨らませて 上原さんを 睨む私。


一瞬 上原さんの目が 愛しそうに 私を見た。


その日 初めて感じた 甘い 居心地の悪さに

私は 小さく 肩をすくめて 俯いた。