「ごめん。出張でさ。電話できなくて。心配した?」

4日目の夜 タケルの声を聞いて

ホッとする私は もう タケルに捉われていた。


「別に…タケルの電話 待ってるわけじゃないから。」

「この前 あず美に ” もう電話しないで ” って言われて。次の日から 電話できなかったから。あず美 気にしてるかなって 心配してたんだ。」


「気にするわけ ないでしょう。タケルは 彼氏じゃないんだから。」

「そうか?本当は 少し 気にしてただろ?正直に 言ってみ?」


「ちょっと。馬鹿にしてるの?」

「ハハッ。ゴメン、ゴメン。あず美の ” 寂しい… ” っていうの 聞きたかっただけ。」

「はぁ? だから。寂しくないし。」


「そうか?まぁ いいや。相変わらず 意地っ張りだな。」


私は 完全に タケルに 負けている…


本当は まだタケルが 好きだ。


認めてしまいそうな 自分を

精一杯 強がりで 抑えていたけど。


『別に 会っても いいんじゃない?』

そう言っていた さくらの声が

心の奥に リフレインしていて。



本当に 会っても いいのかな…?

ううん。私は タケルに 会いたいと 思っている。


4年振りに会った タケルは 

大人っぽくなっていて。


あの頃よりも 素敵に見えたから…