それからも タケルからの電話は 続いた。


何か 特別なことを 話すわけでは ないのに。

私は タケルからの電話を 待っていた。


タケルが 思わせぶりなことを 言わないから

私は 気楽に 会話を 楽しんでいた。



合コンで 再会してから まもなく1ヵ月。


「あず美。夏休みは どっか行くの?」

「うーん。まだ決めてないけど。」

「温泉でも 行こうよ。」

「はぁ!?何で タケルと行くのよ?」


「たまには いいじゃん?息抜きに…」

「タケル おかしいんじゃない?何で 別れた彼氏と 息抜きするの?」

「じゃ、とりあえず メシでも食おうよ。近いうち?」


馬鹿げているけど… 


温泉って 言われた後に ご飯に 誘われて

ご飯くらいなら いいかって 思ってしまった。


「今更 別れた彼女と ご飯食べても 仕方ないでしょう?」


それでも まだ私は 躊躇してしまう。


美香に 言われたように

私は タケルに会ったら また付き合ってしまう。


このまま 過去をうやむやにして

付き合うことは まだ 嫌だった。


「俺 別れた彼女って 思ってないから。」

「えっ?」

「あず美は 最近の合コンで 知り合って。気に入ったから アプローチしてるの。」


タケルの 勝手な言い分に 私は 笑ってしまう。


「クスッ。何それ?タケルって 昔から そういう所 あったよね?」

「そういう所って?」

「何でも 自分に 良いように 解釈するでしょ?」

「あー。俺 プラス思考だからな。」

「んっ?ちょっと 違うけど…」


駄目だ… タケルと 係わっていたら 

私は また 好きになってしまう。


「とにかく。私は もうタケルと 会わないし。電話も しないでよ。」


急に 怒ったように 言う私は

ただの 情緒不安定…


その日から 3日間 タケルからの 電話がなくて。

私は タケルを 突っぱねたことを 後悔していた。