七海Side
夢の中で彰くんが隣にいて私を包み込んでくれ、とても和む。素直な気持ちが溢れ出た。
「あったかい 大好き」
「オレも好きだよ、愛してる」
と言いながら額にキスをしてくれる、夢の中の彰くんはとても優しい。
「うっんっ…、彰くん」
「何?」
「彰くん…………えっなんで…本当に…」
「本当にオレだよ」
夢だと思ったが夢でなかった。目を開けると彰くんが本当に居た。
「七海?オレに言う事はないか?ちゃんと話そう」
彰くんの言葉にビクッとする。覚めたばかりで頭は上手く働いていないが覚悟を決めた。
「…ねぇ彰くん離して、話すから起き上がろう」
ベッドから起き上がり二人で向き合って座る。
「彰くん、私と離婚してください」
「えっ」
私からの言葉は彰くんには予想外だったようだ。
「彰くんにとって私って何?」
「何って大事な人に決まってるだろ」
「大事でも優先順位低いよね?
1にケータイ 2に誰か 3・4がなくて 5に私 でしょう?」
「そんな事ないだろう!」
「そんな事あるよ」
「ないよ!それに誰かって誰だよ!」
「カレーライスの人よ!いつも匂いをプンプンさせてるじゃない!ケータイでだって楽しそうにしてるじゃない!私より優先させてるじゃない」
「違う…違うんだ!」
彰くんは首を振り否定しているが信じられない。あの辛い日々を思い出し泣けて来た。
「それは前に話しただろう『パソコンの相談をされた』って、それだけだよ!オレにはなんの感情もない」
「なんの感情もないのにあんなに移り香がするもの?あんなに遅く帰って来て!あの日私がどんな気持ちで待ってたと思っているのよ!
それだけじゃない!私との約束まで破ってご飯も食べて来たよね?
どこが優先されてると思えるのよ……愛妻弁当だって作ってもらっているんでしょ!妻は私だけでは無かったの?」
「七海!妻は七海だけだ。誓って言う。浮気なんてしてない!」
彰くんに抱きしめられそうになり、反射的に手を払ってしまった。今は触れられたくない。
「あの日っていつだ?」
「私が早く帰って来るかケータイで聞いたでしょ!赤ちゃんが出来て嬉しかったのに…一緒にお祝いしたかったのに…もう…」
あぁ、とうとう言ってしまった。号泣する私とは対象に彰くんは呆然としている。
「赤ちゃん…」
「ここにいたの。ここにいたのに私のせいで居なくなっちゃった」
彰くんか抱き締めて言う。
「七海のせいじゃない!七海のせいじゃなくて、オレのせいだ!オレが不安にさせたから。オレも祝ってやりたかった、別れる時も一緒に居れなくてごめんな」
二人で泣いた。気持ちが落ち着いて来て、やはり区切りをつけないといけないと思った。
「私のせいでいいの………だから離婚して」
「『だから離婚』っておかしいだろ」
「おかしくない、私と別れれば身軽になれるんだよ! 好きな人と一緒になればいいじゃない」
「オレの好きな人は七海だけだって言ってるだろう!」
「言ってないよ」
「えっ?」
「最近言われた記憶ない」
「オレは七海が好きだ、愛してるのも一緒にいたいのも七海だけだ」
「信じられない」
「七海聞いてくれ、同窓会で会った和田ってヤツに本当にパソコンの購入で相談された。安易に関わって七海に誤解させて…辛い想いをさせて悪かった。ごめん。
和田とは本当に何も無いんだ。弁当は相談にのったお礼に無理やり渡されたが会社の後輩に食べてもらった。
その時に後輩に結婚指輪をしていないのを指摘されて、七海と行った温泉で外していた事を忘れていて、その日帰宅して直ぐに付けた。わざと外していた訳じゃないんだ。
遅く帰った日は瑛たちと飲んだ。だが別れてから駅で泥酔した和田を見かけて和田の最寄り駅まで送ってタクシーに乗せて帰らせた。これからは関わらないし連絡もしないよう断った。
軽卒なことして本当にごめん」
最近の彰くんとは違って真剣な顔をしてる。
「離婚なんて言わないでくれ!」
「私だって本当は離婚したくないよ。でも自信なくなっちゃった…
私は会社から帰って食事の支度するけど、彰くんはそんな私の事なんて気にしないよね?連絡もせずに平気で飲んで食べてくるよね 私の存在忘れてるってことでしょう?」
「これからはきちんと連絡するよ!」
「始めはセフレ、次に恋人、そして妻かと思ったら家政婦だった。それと、セフレか……最初に戻っちゃったね」
「オレそんなに七海に愛情表現していなかったのか?伝わっていなかった?」
「うん、それとね正直に言うと、彰くんのケータイの着信音に耐えられそうに無いの…ごめんね…我儘で」
「そんなの着信音変えれば解決するだろオレ七海に甘えてた、あぐらをかいてた、これからは愛情表現もする、大事にする。だからオレといてくれ」
「彰くんは私にとって近くて遠い人だった。ずっと一緒にいたはずなのに言いたいことも言えなくて……これから何十年も月日が過ぎるのに、そんな関係の夫婦は駄目だよね…きっと赤ちゃんも不安になったのかな」
「七海、そんな事言うなよ。」
「私ね、彰くん程自分をさらけ出せる人なんていなかった。自分がありのままで居られるのはきっと彰くんだけだと思う。でもね、このままだと不安だよ、どうしたら一緒にいられるのか、私にもわからないの」
「七海が話したかった事オレに話して。何でもいい、七海がオレに言おうとしていた事教えて欲しい。お願いだから話して」
彰くんが手を差し出してくる。この手を取る?考えていたら、彰くんに手を取られ彰くんに寄り添う態勢になってしまった。
彰くんの心臓の音が聞こえる。
「七海?赤ちゃん一緒に迎えてやれなくてごめんな、辛い想いも一人で背負わせてごめん」
「彰くん、浮気してない?」
「してない!絶対無いから。七海以外は欲しくない。オレの行動が誤解されても仕方ないかも知れない、ごめん」
「彰くんと同じ行動、私がしてたらどう思う?」
「……嫌だな……ごめん」
「私の中にね、信じてる自分と疑っている自分がいたの。でも疑っている自分に負けちゃった。彰くんに不安な気持ち伝えてれば違ったかな? 同窓会の後から楽しそうにケータイを見てる回数が増えて、女のひとの匂いをつけて帰宅して来て不安だったの」
「ずっと不安だったのか?」
「うん…食欲も落ちてて綾乃に会った時に妊娠の検査を勧められたんだ、それで市販の検査したら陽性だった。だから、病院へ行ってきちんと判断されたら彰くんに言おうと思った。会社早退して病院へ行ったの『妊娠してます』って言われたの、凄く嬉しかった。だから彰くんとお祝いしたくて電話したんだ、無理だったけどね…でも飲んでもデザートならいいかな?と思ってプリンアラモード買ったの。あの日も匂いがしてた。だから伝えれなかったの。それとねホントは先生から言われてたの『心臓が確認出来ないから、早く確認出来るといいですね』って、次に診察した時も確認出来なくて、翌日会社で出血しちゃって…ウッ…病院へ行ったら『流産だって』……」
号泣する私を彰くんは強く抱き締める。
「七海ごめんな、赤ちゃんもごめんな。オレが頼りないから。七海、これからは何でもオレに言って!一人で抱え込むなよ。祝ってやれなくて悔しいよ、病院にだってオレが付いていたかった。後悔しても遅いけど辛い七海の側にいたかったよ」
「彰くん…」
彰くんの言葉が響いてくる。
「明日、こっちのお墓参り行こうか?それからオレの方のお墓参りにも行って
『オレたちの赤ちゃんをお願いします』って頼んでおこう」
彰くんの言葉に心が1つになれた気がした。
私の心の中のわだかまりが消えていく。
「うん、そうだね」
「七海、オレも話すようにするから、七海も話してくれ。些細な事でも不安な事でもいい、オレ言われないと気付かないし、オレたち夫婦だろ?一人で抱えないでオレにも分けてくれ、約束して」
「約束する、話すように頑張るね」
「あぁ」
「こうやって夫婦になるのかな?」
「そうだな。これからも二人で乗り越えような」
「七海の身体は大丈夫なのか?」
「うん、私は大丈夫。ねぇ彰くん、赤ちゃん来年の4月生まれる予定だったの」
「そうか」
「まだ泣くの許してね…」
彰くんの腕の中で、彰くんに縋りながら、私は取り留めもなく涙が流れた。彰くんは頭を‘’ポンポン‘’としてから背中を擦ってくれていた。
夢の中で彰くんが隣にいて私を包み込んでくれ、とても和む。素直な気持ちが溢れ出た。
「あったかい 大好き」
「オレも好きだよ、愛してる」
と言いながら額にキスをしてくれる、夢の中の彰くんはとても優しい。
「うっんっ…、彰くん」
「何?」
「彰くん…………えっなんで…本当に…」
「本当にオレだよ」
夢だと思ったが夢でなかった。目を開けると彰くんが本当に居た。
「七海?オレに言う事はないか?ちゃんと話そう」
彰くんの言葉にビクッとする。覚めたばかりで頭は上手く働いていないが覚悟を決めた。
「…ねぇ彰くん離して、話すから起き上がろう」
ベッドから起き上がり二人で向き合って座る。
「彰くん、私と離婚してください」
「えっ」
私からの言葉は彰くんには予想外だったようだ。
「彰くんにとって私って何?」
「何って大事な人に決まってるだろ」
「大事でも優先順位低いよね?
1にケータイ 2に誰か 3・4がなくて 5に私 でしょう?」
「そんな事ないだろう!」
「そんな事あるよ」
「ないよ!それに誰かって誰だよ!」
「カレーライスの人よ!いつも匂いをプンプンさせてるじゃない!ケータイでだって楽しそうにしてるじゃない!私より優先させてるじゃない」
「違う…違うんだ!」
彰くんは首を振り否定しているが信じられない。あの辛い日々を思い出し泣けて来た。
「それは前に話しただろう『パソコンの相談をされた』って、それだけだよ!オレにはなんの感情もない」
「なんの感情もないのにあんなに移り香がするもの?あんなに遅く帰って来て!あの日私がどんな気持ちで待ってたと思っているのよ!
それだけじゃない!私との約束まで破ってご飯も食べて来たよね?
どこが優先されてると思えるのよ……愛妻弁当だって作ってもらっているんでしょ!妻は私だけでは無かったの?」
「七海!妻は七海だけだ。誓って言う。浮気なんてしてない!」
彰くんに抱きしめられそうになり、反射的に手を払ってしまった。今は触れられたくない。
「あの日っていつだ?」
「私が早く帰って来るかケータイで聞いたでしょ!赤ちゃんが出来て嬉しかったのに…一緒にお祝いしたかったのに…もう…」
あぁ、とうとう言ってしまった。号泣する私とは対象に彰くんは呆然としている。
「赤ちゃん…」
「ここにいたの。ここにいたのに私のせいで居なくなっちゃった」
彰くんか抱き締めて言う。
「七海のせいじゃない!七海のせいじゃなくて、オレのせいだ!オレが不安にさせたから。オレも祝ってやりたかった、別れる時も一緒に居れなくてごめんな」
二人で泣いた。気持ちが落ち着いて来て、やはり区切りをつけないといけないと思った。
「私のせいでいいの………だから離婚して」
「『だから離婚』っておかしいだろ」
「おかしくない、私と別れれば身軽になれるんだよ! 好きな人と一緒になればいいじゃない」
「オレの好きな人は七海だけだって言ってるだろう!」
「言ってないよ」
「えっ?」
「最近言われた記憶ない」
「オレは七海が好きだ、愛してるのも一緒にいたいのも七海だけだ」
「信じられない」
「七海聞いてくれ、同窓会で会った和田ってヤツに本当にパソコンの購入で相談された。安易に関わって七海に誤解させて…辛い想いをさせて悪かった。ごめん。
和田とは本当に何も無いんだ。弁当は相談にのったお礼に無理やり渡されたが会社の後輩に食べてもらった。
その時に後輩に結婚指輪をしていないのを指摘されて、七海と行った温泉で外していた事を忘れていて、その日帰宅して直ぐに付けた。わざと外していた訳じゃないんだ。
遅く帰った日は瑛たちと飲んだ。だが別れてから駅で泥酔した和田を見かけて和田の最寄り駅まで送ってタクシーに乗せて帰らせた。これからは関わらないし連絡もしないよう断った。
軽卒なことして本当にごめん」
最近の彰くんとは違って真剣な顔をしてる。
「離婚なんて言わないでくれ!」
「私だって本当は離婚したくないよ。でも自信なくなっちゃった…
私は会社から帰って食事の支度するけど、彰くんはそんな私の事なんて気にしないよね?連絡もせずに平気で飲んで食べてくるよね 私の存在忘れてるってことでしょう?」
「これからはきちんと連絡するよ!」
「始めはセフレ、次に恋人、そして妻かと思ったら家政婦だった。それと、セフレか……最初に戻っちゃったね」
「オレそんなに七海に愛情表現していなかったのか?伝わっていなかった?」
「うん、それとね正直に言うと、彰くんのケータイの着信音に耐えられそうに無いの…ごめんね…我儘で」
「そんなの着信音変えれば解決するだろオレ七海に甘えてた、あぐらをかいてた、これからは愛情表現もする、大事にする。だからオレといてくれ」
「彰くんは私にとって近くて遠い人だった。ずっと一緒にいたはずなのに言いたいことも言えなくて……これから何十年も月日が過ぎるのに、そんな関係の夫婦は駄目だよね…きっと赤ちゃんも不安になったのかな」
「七海、そんな事言うなよ。」
「私ね、彰くん程自分をさらけ出せる人なんていなかった。自分がありのままで居られるのはきっと彰くんだけだと思う。でもね、このままだと不安だよ、どうしたら一緒にいられるのか、私にもわからないの」
「七海が話したかった事オレに話して。何でもいい、七海がオレに言おうとしていた事教えて欲しい。お願いだから話して」
彰くんが手を差し出してくる。この手を取る?考えていたら、彰くんに手を取られ彰くんに寄り添う態勢になってしまった。
彰くんの心臓の音が聞こえる。
「七海?赤ちゃん一緒に迎えてやれなくてごめんな、辛い想いも一人で背負わせてごめん」
「彰くん、浮気してない?」
「してない!絶対無いから。七海以外は欲しくない。オレの行動が誤解されても仕方ないかも知れない、ごめん」
「彰くんと同じ行動、私がしてたらどう思う?」
「……嫌だな……ごめん」
「私の中にね、信じてる自分と疑っている自分がいたの。でも疑っている自分に負けちゃった。彰くんに不安な気持ち伝えてれば違ったかな? 同窓会の後から楽しそうにケータイを見てる回数が増えて、女のひとの匂いをつけて帰宅して来て不安だったの」
「ずっと不安だったのか?」
「うん…食欲も落ちてて綾乃に会った時に妊娠の検査を勧められたんだ、それで市販の検査したら陽性だった。だから、病院へ行ってきちんと判断されたら彰くんに言おうと思った。会社早退して病院へ行ったの『妊娠してます』って言われたの、凄く嬉しかった。だから彰くんとお祝いしたくて電話したんだ、無理だったけどね…でも飲んでもデザートならいいかな?と思ってプリンアラモード買ったの。あの日も匂いがしてた。だから伝えれなかったの。それとねホントは先生から言われてたの『心臓が確認出来ないから、早く確認出来るといいですね』って、次に診察した時も確認出来なくて、翌日会社で出血しちゃって…ウッ…病院へ行ったら『流産だって』……」
号泣する私を彰くんは強く抱き締める。
「七海ごめんな、赤ちゃんもごめんな。オレが頼りないから。七海、これからは何でもオレに言って!一人で抱え込むなよ。祝ってやれなくて悔しいよ、病院にだってオレが付いていたかった。後悔しても遅いけど辛い七海の側にいたかったよ」
「彰くん…」
彰くんの言葉が響いてくる。
「明日、こっちのお墓参り行こうか?それからオレの方のお墓参りにも行って
『オレたちの赤ちゃんをお願いします』って頼んでおこう」
彰くんの言葉に心が1つになれた気がした。
私の心の中のわだかまりが消えていく。
「うん、そうだね」
「七海、オレも話すようにするから、七海も話してくれ。些細な事でも不安な事でもいい、オレ言われないと気付かないし、オレたち夫婦だろ?一人で抱えないでオレにも分けてくれ、約束して」
「約束する、話すように頑張るね」
「あぁ」
「こうやって夫婦になるのかな?」
「そうだな。これからも二人で乗り越えような」
「七海の身体は大丈夫なのか?」
「うん、私は大丈夫。ねぇ彰くん、赤ちゃん来年の4月生まれる予定だったの」
「そうか」
「まだ泣くの許してね…」
彰くんの腕の中で、彰くんに縋りながら、私は取り留めもなく涙が流れた。彰くんは頭を‘’ポンポン‘’としてから背中を擦ってくれていた。