《愛》

私は愛とはなんなのか、まったく分からなかった。

そもそも、愛を知らなかった。

私の家族は、両親と姉が2人だった。

私が小学校に入学した頃、家族で隣町へ遊びに行った帰りに事件は起きた。

目の前から車が猛スピードで走って来た。

運転していた父は避けようと必死だったが、避けきれず、そのまま衝突。

後ろの座席の真ん中に私が座っていて、両隣に姉が座っていた。

姉2人は私のことを守ろうと、2人で私のことを抱きしめるようにした。

姉2人が私のことを守ってくれたので、私は軽傷で済んだ。

たけど、両親は即死。

姉2人は重症で、病院に運ばれる途中に亡くなった。

私が隣町まで遊びに行こうなんて言わなかったら、みんな死なずに済んだのに。

私のせいで…

私が家族を殺したんだ…。

私が…。

それから私は叔母に引き取られ、学校費は遺産でなんとかやっていた。

高校に入学してからは、高校近くのアパートで一人暮らしを始めた。

最初は叔母からは反対されたが、これ以上叔母に迷惑をかけたくなかった。

どうして神様は、こんなに残酷なことをするのだろう。

私はきっと、神様から嫌われているんだ。