「殺し屋としての姿を初めて見た時から、何となくこの人はシャンソンだって思ったよ」

さあ、早く殺して。サラはそう言って俺をまっすぐ見つめる。俺の瞳からボロリと涙があふれ始めた。

人を撃つのは、殺すのは、これが初めてなんかじゃない。どれだけ多くの人をこの手で殺めてきたかなんて、今まで食べてきたパンの数ほどだと思う。でも、泣きながら撃つのは初めてだ。

春に出会って恋に落ちた。夏にいっぱい思い出を作った。秋の夜に一つになった。冬に全て終わりを告げた。

「……ごめん」

もっと違う道を俺が歩んでいたら、サラのことを救えたかもしれない。殺すという方法でしか苦しみを取り除いてやらないなんて、俺は最低の人間だ。

サラは変わらず優しい顔をしたまま、口を動かす。サラの最期の言葉だ。

「愛してる。生まれ変わってもあなたに会いたい」

その言葉を聞き終えた刹那、森に銃声が響いた。



俺はその場に崩れ落ちたサラの体を抱き締める。涙が止まない。だってサラが俺を愛してくれたように、俺もサラを愛していたんだから……。