「これ、幸運の傘やねん。これ持ってたらええことあんで。にいちゃん、今めっちゃ幸せやから、もうこの傘いらんねん。キミにも幸せのおすそ分けするわ」


かなり無理のある説得だなぁ。

つか、余計怪しい?

なんて思いながらも、彼女の手をとり、半ば強引に傘を持たせた。


オレは立ち上がると持っていた鞄を頭上に掲げた。

多少なりとも雨をしのげるだろう。

待ち合わせのファーストフード店は、この先の横断歩道を渡ってすぐだ。

オレはバシャバシャと水音を立てながらまた走り出した。