そう言いかけた瞬間、今度はサユリの携帯が鳴った。
どうやら家から掛かってきたようだった。
「うん。あ、ごめんなさい。今から帰るから」
電話の相手に向かってそう言い携帯を切ると、サユリは申し訳なさそうな顔をオレに向けた。
「ケンジ、ごめん。あたしもう帰らな」
「ああ。うん、送るわ」
オレは歩きながら考えた。
“キリノノリコ”のこと、サユリには黙っておこう。
自分の彼氏から他の女の子の話題が出て喜ぶことはまずないだろう。
それに、オレの中で“キリノノリコ”という女の子の存在は何か特別なものになっている。
決して“好き”とかそういうもんじゃないんだけど。
なんだろ、この淡い想いは……。
あの日受け取った白いタオル、駆けていく彼女の後ろ姿。
思い返すと、甘酸っぱい感情がオレの中に広がる。
ずるいかもしれない。
だけど、この時オレは
自分の中にある“キリノノリコ”をサユリには知られたくなかったんだ。
どうやら家から掛かってきたようだった。
「うん。あ、ごめんなさい。今から帰るから」
電話の相手に向かってそう言い携帯を切ると、サユリは申し訳なさそうな顔をオレに向けた。
「ケンジ、ごめん。あたしもう帰らな」
「ああ。うん、送るわ」
オレは歩きながら考えた。
“キリノノリコ”のこと、サユリには黙っておこう。
自分の彼氏から他の女の子の話題が出て喜ぶことはまずないだろう。
それに、オレの中で“キリノノリコ”という女の子の存在は何か特別なものになっている。
決して“好き”とかそういうもんじゃないんだけど。
なんだろ、この淡い想いは……。
あの日受け取った白いタオル、駆けていく彼女の後ろ姿。
思い返すと、甘酸っぱい感情がオレの中に広がる。
ずるいかもしれない。
だけど、この時オレは
自分の中にある“キリノノリコ”をサユリには知られたくなかったんだ。


