キミだけのヒーロー

オレの突然の提案にサユリは目を丸くして驚いている。


「普通に探すだけちゃうで? 競争すんねん。 先に見つけた方が次のデートで飯おごってもらうねん」


「え……」


「じゃ。よーい、ドン!」


サユリの答えも待たず、オレは探し始めた。


「えー! ずるいー!」


なんて言いながらサユリも慌てて、四つんばいになって地面を見つめる。

その目はさっきとは違って、宝探しでもするかのようにワクワクしているような目だった。


良かった……。

ちょっとは元気になれるかな。


オレはそんなサユリの様子にほんのちょっとホッとした。


30分ほど二人で探し回るものの、結局オレは見つけることができなかった。


「あー。あかんわー」


そう呟くオレの目の前に、四葉のクローバーが差し出された。


「ハイ。ケンジのも見つけといたよ」


サユリの手には2本の四葉のクローバー。


「え? なんで?」