キミだけのヒーロー

そういや、日曜のデートの時もそうだった。

初めて紹介されたあの日の印象とはちょっと違うような気がしてた。

あの日はよっぽど緊張していたのか、かなり大人しい女の子の印象だった。

だけど、こうして過ごしていくと、意外にも活発で豪快な子なのだということがわかってきた。

最初のイメージが崩れたからといって、オレがサユリを嫌になるようなことは全くなかった。

むしろ、色んな面を知れば知るほど、ますます彼女に興味がわいた。


『とりあえず付き合ってみろ』って言ってた誰かの言葉も今ならわかる気がする。

見た目や少ししゃべったぐらいで得られる相手の情報なんて、ほんのごくわずかだ。

人間なんて、実際に付き合ってみなきゃ、相手のことなんてわからないんだ。

それで嫌いになればそれまでのこと。

だけど、もっと惹かれて好きになるかもしれない。


誰かと付き合うっていうことは、こんな風に小さな発見に幸せを感じていくことなのかもしれない。

そしてどんどん“好き”を重ねていくんだ。



サユリは最初の球に比べればかなり手を抜いて投げてくれているものの、その投げるフォームは女の子のそれとは思えないぐらい、サマになってる。


サユリが足を上げるたびにプリーツスカートの裾が揺れる。

わりと短めなサユリのスカートからは、しなやかで引き締まった形の良い脚が出ていて、彼女が動くたびにスカートの中が見えそうで見えない。

そんな光景がさっきからオレの胸のどこかをくすぐっていた。


またサユリが構える。

足を上げる。

あともうちょっとで……