キミだけのヒーロー

またサトシがこっちを向いた。

しかもかなりの呆れ顔で。


「え? 今の声に出てた?」

そう言うオレをサトシは数秒間じっと見つめていたかと思えば、無言のまま、また携帯をいじりだした。


「おい! なんかつっこめって!」


「は? そこつっこむとこやったん?」


サトシは顔も上げずに言う。


「女いるんやったら、いくらでも紹介できるで?」


「いや。いい。お前だけには紹介されたくない」


即答で拒否った。

コイツに女なんか紹介されたら、ろくでもない目に会いそうだ。


いらなくなった女を押し付けられるとか……。
(実際に過去に経験済み)


やたらとエロい女を紹介されるとか……。
(あの時は危うくオレの貞操が奪われるとこでした)