キミだけのヒーロー

ああ……。

そうか。


バカだな、オレは。

何勝手にヒーロー気取ってたんだ。


彼女がオレに話しかけてくれたのは、単純にオレを意識していなかったからだ。

あの時と同じだ。

サトシにアドレスを直接渡せなかったミヤビちゃん。

オレだから……オレにだから、気安く声を掛けられただけだったんだ。


オレはやっぱりいつまでたっても“レッド”にはなれない。


それがオレの今のポジション……。


彼女にとってのヒーローはたった一人。

シィだけだ。




それにしてもこの虚しさはなんだ?

センチメンタルにもほどがある。


ぽっかり空いた心の訳を、オレは自分に問いただしてみる。


オレはちぃちゃんに惚れてた?


いや。

多分、それは違う。


この感情はそういうもんじゃないような気がする。


これはむしろ……。