シィの意外な言葉にオレは戸惑った。


「サユリちゃんと別れたことまでは知らんかったけどな。お前がここんとこ元気ないのぐらいみんなわかっててんで」


「え……」


「まぁ一番最初に気づいたんはヤマジやったけどな。ヤマジなんかずっと心配してたで?」


「心配?」


「お前は何でも一人で抱え込んでしまうって。いつもヘラヘラ笑ってるけど、無理してるんちゃうかって。でも、お前が落ち込んでることに気づかれたくないんやったら、オレらは気づいてないフリしとこう……」


「シィ……」


「って、オレじゃなくて、ヤマジが言ってたの!」


シィは照れ隠しのためか、わざとぶっきらぼうにそう言った。


「そうやったんか。全部、お見通しやったんやな。なんか、かっこ悪っ、オレ……」


「お前、そういうことでかっこつけんなや。ほんまアホやなぁ……。次なんかあったら、愚痴れよ?」


まだ照れて赤くなっているシィの顔をジッと見つめた。


「シィ君、好き!」


「うわっ! やめろ!」


オレはガバッて感じでシィに抱きついた。

その結果、さらに女子達の注目を浴びてしまったのは言うまでもない。


オレはどこかでみんなに気を使っていた。

心配かけたくないとか、その場の雰囲気を壊したくないとか。

だけど、そういう気遣いが、逆にみんなに心配かけることになっていたとは……。

ほんと今回のことでつくづく感じたよ。

オレは最大級のアホで、最高の友達を持った幸せモンだってこと。

ありがとうなんて、改まって言えないけど……


ほんとそう思うよ。