自転車をどんどん加速させる。

オレの頬は次第に緩みだす。


そっか……。

ほんとに良かったな、ちぃちゃん。


すげーよ。

こんなことってあるんだな。

彼女の想いがちゃんとシィに届いたんだ。

その事がオレにも勇気を与えてくれたような気がした。



次はオレが頑張る番だ……。

今、むしょうにサユリに会いたい。


きっと嫌がられるだろうけど。

だけど、もう気にしない。


会いたい。

声が聞きたい。


会ってちゃんと話すんだ。

オレの気持ちを――。


緩やかな坂を下る自転車に身を任せた。


風が頬に当たって気持ち良い。


今ならなんだってやってやる。

――そんな気分になってた。