「オレなぁ……ずっとお前にコンプレックス感じててん」


こんな恥ずかしいこと今までだったら絶対口にできなかった。

今日のオレはあり得ないぐらい素直だ。


「お前にはどうやってもかなわへん気がしてて……。それでサユリのことも、ろくに確認もせんと誤解してしまった。お前にやったら、サユリが惚れるのもしょうがないかなって思い込んでてん」


「アホか……」


サトシは横からオレの頭を軽くパンチした。


「けどまぁ……。今は悟ってるねん。オレはオレでしかないからな。それで良いって思ってるねん」


「フッ……お前はぜっんぜんわかってないな」


サトシは小さなため息とともにそう言うと、今度はオレの頬をつまんでひっぱる。


「はひはやへん」
(何がやねん)


「オレはオレで、お前のこといっつも『すげーな』って思ってるで」


「へ?」