余裕なきみにチェリーランド



窓際に座っている桃葉くんの近くまで行って、座っている彼を見下ろしながら話しかける。下から覗くようにわたしを見た桃葉くんは上目遣いで、男子のくせに少しだけ幼く見えてかわいらしい。


「ほら、黙ってないで言ってよ、桃葉くん」

「……今日水羽と話したんだって?」

「え、何故それを?」

「クラスの女子が言ってた。……水羽と春咲さんが、昼休みに隠れてふたりで会ってたって」


ええっと、それは結構話が拡張されているような?


「隠れて会ってたなんて言い方悪いよー、たまたま廊下で会って、水羽くんに声をかけられただけだよ」


うん、この弁解は間違ってない。というか、何を弁解してるのかさっぱりだけれど。


「そんなことだろうとは思ったけど」

「初めて話したけど、水羽くんはわらうんだね、桃葉くんと正反対」

「水羽は人がいいから」

「桃葉くんと同じ顔して笑うんだもん参ったよー、顔がいいって罪だね?!」

「……」

「あ、でも水羽くんと桃葉くんはやっぱりちがうよ? 何が違うかっていうと言葉では難しいんだけど、雰囲気というのか顔の造形というのかなんていうかね、水羽くんは桃葉くんよりちょっとだけ柔らかい印象っていうか──」

「ねえ春咲さん」