「……春咲さんってさ」
「うん?」
「俺の顔が好きっていつも言うけど、それ水羽じゃダメなの」
──七原 水羽
──七原 桃葉
うちの学校で知らない人はいない“七原双子”の兄弟だ。
芸能人並みに容姿が整っているふたりは美形双子と呼ばれていて、顔も身長もスタイルもとにかくソックリ。ちょっとやそっとじゃ見分けがつかないレベルだ。けれど性格は正反対。無表情でクール、女の子には冷たいと噂の桃葉くんとは対照的に、お兄さんの水羽くんは誰とでも仲良くなれる人懐っこい性格らしい。
勿論もともとふたりのことは知っていたし、なんなら顔が好きすぎて二人とものファンだったけれど。
「ダメだよ?」
3ヶ月前、突然桃葉くんが現れて私に言葉を落とした瞬間から、私の好きな人はたった一人だけなのだ。
「私のモデルが務まるの、桃葉くんだけなんだから」
「……へえ」
甘いね、桃葉くん。私がただの顔ファンだと思ってるなら大間違いだよ。
私がどや顔でそう言うと、まんざらでもなさそうな顔をする桃葉くん。ずるいなあ、そういうところ。毎日ふらっとここへやってくるのだって、ただこの美術室がすきだからっていうのを知っていても、少しだけ期待してしまったりするんだよ。



