余裕なきみにチェリーランド





「紡は押しが強すぎるんだよ」


翌日、昼休み。
いつも一緒にお昼ご飯を食べているむっちゃんに「どうしてもどうしても桃葉くんを落としたい」と相談してみた。

「あ、まだ本気だったんだ」と驚いたように言われたけれど、私、春咲紡、いつでも本気がモットーの16歳。


「押しが強い……とは?」

「あんたさあ、毎日毎日ギャグみたいに迫ってて、あれで七原弟が落ちるとでも思ってんの?」

「ギャグじゃないよ!」

「注目すべきはそこじゃない」


はあ、と呆れたように息をついたむっちゃん。
そして言い聞かせるように「いーい?」と口を開いたのだ。


「相手はあの七原桃葉!美系双子の弟、クール属性、典型的な難攻不落キャラ!」

「桃葉くんはキャラじゃないもん!」

「でも攻略したいんでしょ?」


うっ、と言葉に詰まる。その通りだ、私は桃葉くんの余裕さにつけ込んで、それで、崩したい。


「どっ、一体どうすれば」


ごくりと唾をのんで、むっちゃんを見つめる。
だって、今の私の頼みの綱はむっちゃんしか……!


「そうだね、七原弟に比べると紡は何もかも足りてないけど」

「うっ」


辛辣。いたいけな乙女のハートの傷口に塩を塗りやがった。

そりゃあたしかに、桃葉くんは顔も良し器量も良し、加えて私だけが知っていると思いたい、性格も良しだもの。私とは大違いなのはわかっている。

大袈裟に痛んだ胸をおさえるジェスチャーをするも、むっちゃんは完全無視で続行する。