思い出さなかったのは嘘じゃない。


2人が林先輩のことを思い出す隙をあたえないくらい楽しませてくれたから。



それに帰ってからは翠のことばかり考えてたし。




「…あいつが言ってきたこと、気にしてないか?」



「…っ」




翠の一言にピクっと反応してしまった。




“ お前みたいなノリ悪い女マジつまんねぇから!! ”


去り際、吐き捨てるように私に向けられた林先輩のセリフ。




あんなに猫なで声で私に絡んできて、機嫌を伺ってきていた人があの変貌。


人って怖いな、なんて。そう思ってしまった。



気にしないつもりだったけど、やっぱり私はいい子の仮面を被ったつまらない人間なのかなって。