「契約成立。大家のおばちゃんにはまた後日礼でも言いに行こう」


「…うん」




私、多分今とんでもないことしてる。


それは楠木さんも一緒だけど。



お互い、だめだって分かってる。でも…




私には、他に居場所なんかどこにもないから。







それからはあっという間だった。




車に乗って、二人でしりとりしながら楠木家へ。


その高級マンションの扉が開いた時、楠木さんは私に言ってくれた。




「…おかえり、緋和」




その言葉は、私の冷めた心を少しだけあたためてくれた気がした。




「っしゃ、これで脱カップラーメン生活〜」




靴を脱いで部屋に上がる楠木さんはルンルンだった。



この歳でカップラーメン生活…?




・ニコチン依存性(たぶん)

・お酒好き(たぶん)

・カップラーメン生活





…体に悪すぎ。




「明日からはキノコたっぷりの献立でも考えときますね」


「は!?なんでお前俺がキノコ嫌いなこと知ってんだよ!」


「へぇ、やっぱり嫌いなんですね。キノコ嫌いそうだなって思ったんですよ」




基本的に中身子供と変わらないから。




「お前怖っ」





大波乱な1日だったこの日。


居場所のない私は、教師に拾われた。