「あ、ちょうどいいところに!ほら見てよ緋和、クスノキ先生!私の好みどストライクな男!!」




ビシっ!と円香が指さした先には私廊下を歩く1人の男の先生。



少し強い風が吹いて、その人は気だるげに目を細めた。




「…あ」




ガシャーン!


手に持っていたお箸が滑り落ちた。




けど、私はそれどころじゃなくて。

ただただ、その先生に釘付けになっていた。



だって…




「ちょっと緋和!どうしちゃったの?」




「── “ ヒワ ” ?」




そのテノールボイスが、私の名前を呼ぶ。


そしてその切れ長なアーモンドアイは真っ直ぐに私を捉えた。




「…は?」




あ、驚いてるのはお互い様らしい。




“ 何でここにいるの ” という、2人の共通であろう疑問。