キーンコーン

お昼のチャイムと同時に、一目散に秋くんの教室まで猛ダッシュ

走ったせいで乱れた前髪を、秋くんの教室のドアの前でササッときれいに整える。

いつ見ても可愛いと思ってもらいたいから...。ただそれだけの為に頑張れる。

教室を覗くとすぐに秋くんが目に入る。後ろ姿もかっこいいな。

そして思いきり深呼吸をして
大きく息を吸って

「秋くーん!」

今日一番の大きな声を出した。

スラッとしたモデルのようなスタイル、色素の薄い髪色の大好きな彼が私の呼びかけにふり返る。

目が合った瞬間、柔らかな笑顔で

「沙羅」

優しく答えてくれるだけでキュンとする

「秋くんとお昼一緒にたべようと思って迎えにきちゃった」

「あー...ごめん。今日は彼女と食べる約束しててさ。ちょっと大事な話があって...。」



「そっか、彼女の優美ちゃんとだったら邪魔するわけにはいかないし、しょうがないね。」

彼女の優美ちゃんは見た目も性格もThe女のコって感じで、とっても可愛い人なんだ。

でも大事な話ってなんだろ?




「私もいきなり来てごめんね。」

「何今さら謝ってんだよ、いつもの事じゃん。」

そう言いながらわたしの頭をクシャクシャにしてきた


そっかぁ、残念...。
物わかりのいい振りをするが
内心はショックを受けているけど、秋くんに気付かれないように笑顔で答える。


それでも何かを感じ取ったのか

「沙羅!じゃあ明日一緒にお昼たべよっか。」


「えっ、いいの?ありがとう、秋くん大好きー!
じゃ戻って友達と食べるねー。」


「明日なー」


秋くんとバイバイして歩いていると、視線を感じた。
振り返ってみても、誰とも目が合わない。

...なんだ気のせいか。