片想い


「......沙羅」



誰...?
私を呼んでる声がする




「沙羅 ..沙羅。」


徐々に意識がハッキリしてきた。

「秋くん...!」



声と同時に目をあけると


「うん、ここにいるよ。
それより足大丈夫?切ったらしいけど...。」


秋くんが心配してくれて、わざわざ保健室まで見に来てくれたとか嬉しすぎる。

なんて幸せな余韻に浸っていると、


「沙羅?聞いてる?」

「あ、ごめん。全然大丈夫だよ!」


秋くんに心配かけたくない思いから
大丈夫なフリをした。


「沙羅、うそついてるってバレバレだから。
本当は痛いんだろ」


「う...、痛くないもん」


「まぁ何か理由があるか知らねぇけど、俺にだけは本当のこと言ってほしい。嘘も我慢もダメだから。」


少し怒り気味に、真剣に私の目をまっすぐ捉える。

視線をそらせない。


「...わかったよ!秋くんには本当のこと言うね」


口を開いて言葉を発しようとした瞬間


ガラガラっと保健室の戸びらが開いた。