君の瞳の影~The Shadow Of Your Eyes~

その代わりちゃんとルール守ってもらうのよ。わかったわね!」
「はい、ありがとうございます!」
若き看護師は安堵(あんど)の声で感謝を述べた。
このやり取りを聞くと青年は頭を掻きむしり、うなだれたようにその場を去った。
◇◇◇◇◇◇◇
それからというもの、青年は放埒(ほうらつ)な生活をぴたりとやめて若き新人看護師の指導に素直に従うようになった。
酒の匂いをさせて病院へ帰ってくる事もなくなり、強いて言えば煙草を病院の敷地外にあるひっそりとした公園で日に数本吸う程度の事であり、それは一応形では禁止されているが末期癌患者の数少ない気晴らしの一つとして目をつぶれる範囲の事だった。
勿論青年の態度の変化になにより驚いたのは青年を擁護した若き看護師だった。

それから数週間ほどしてだろうか…。
栄養点滴に訪れた彼女が視線を青年のサイドテーブルにやると、何冊もの書籍とたくさんの用紙、あらゆるサイズの鉛筆、インクと何本ものペンの先端、そしてその柄であろう棒に気がついた。そして、
「まあ、上手!」
末田が西の描いているマンガの巧みさに驚くと、
「あっ、すいません…。隠すつもりじゃなかったんですけど僕マンガ書いてて…」
と青年は弁解するように言葉を切り出し、