どうしてこんな風に話しかけられているのかもわからないままに言葉を交わして、やっとうまく会話ができるようになった日だった。ちょうど、先輩に初めてキスをされた次の日。
その言葉は、私の心をゆっくりと凍りつかせた。更科先輩と誰かが喋っているのが聞こえて、筆を止めた。ゆっくりと窓際に近づいて、中庭でスマホをいじっている先輩を見つめる。その時だった。
「で、夏希は罰ゲーム、順調なわけ?」
「あ?」
「美術部の二年だっけ? そろそろ落ちるんじゃねーの。まさかもうゲームオーバー?」
「え、夏希先輩、もう椎名菜月に告られたんすか?」
途中で、瞬時に聞いてはいけない会話だと気づいた。開けっぱなしだった窓を閉めて、震える脚でずるずると座り込む。
尋常じゃないくらいに汗をかいていた。
嘘だ、と小さく呟いた自分に可笑しくなる。今まで何度も「うそだ、この人が私を構うわけがない」と思っていたくせに、今はこの現実が嘘であってほしいと思っている。
「罰ゲーム……」
呟いてみて、その重く冷たい言葉に泣きたくなる。全部うそだったのか、と息を吐きおろして、冷たくなっている指先を握りしめた。
その言葉は、私の心をゆっくりと凍りつかせた。更科先輩と誰かが喋っているのが聞こえて、筆を止めた。ゆっくりと窓際に近づいて、中庭でスマホをいじっている先輩を見つめる。その時だった。
「で、夏希は罰ゲーム、順調なわけ?」
「あ?」
「美術部の二年だっけ? そろそろ落ちるんじゃねーの。まさかもうゲームオーバー?」
「え、夏希先輩、もう椎名菜月に告られたんすか?」
途中で、瞬時に聞いてはいけない会話だと気づいた。開けっぱなしだった窓を閉めて、震える脚でずるずると座り込む。
尋常じゃないくらいに汗をかいていた。
嘘だ、と小さく呟いた自分に可笑しくなる。今まで何度も「うそだ、この人が私を構うわけがない」と思っていたくせに、今はこの現実が嘘であってほしいと思っている。
「罰ゲーム……」
呟いてみて、その重く冷たい言葉に泣きたくなる。全部うそだったのか、と息を吐きおろして、冷たくなっている指先を握りしめた。



