「降りろ」
その言葉に呟く暇もなく腕を引かれる。親御さんがどうとか考える余裕もなく先輩が鍵を差し込んだ部屋に押し込まれた。先輩の後ろでドアの鍵が閉められた音がする。その瞬間に、やっと視線がぶつかった。
「楽間はやめとけ」
「え?」
「俺と同類だろ。またクソ女どもに目ぇつけられる」
ゆっくりと距離を詰めてくる先輩に、思わず足が後ろへと後退する。その足が段差に躓いて、体勢を崩した。フローリングに倒れ込んだまま、尚も近づこうとする先輩に「ご両親は」と呟くと、呆気なく「独り暮らし」と返された。
「あいつで良いんなら、俺でも良いだろ」
「せんぱい……?」
「何で俺じゃねえの」
とても、今まで見たような先輩とは思えない呟きだった。まるで本当に私がすきでたまらないみたいな声だ。壁に張り付いた背が逃げ道を失くした。そのまま左右に先輩の手がついて、本当にどこにも行けなくなる。視線がぶつかって、これ以上ないくらいに熱い瞳に胸が震えあがった。
「お前さ、俺みたいなのが無理で我慢してたんじゃねえの? 何で楽間なんだよ。……全然あきらめらんねえ」
「あいつじゃなくて俺にすりゃいい、菜月が良いなら、クソ女が近寄る暇もないくらい傍に居てやるから」
その言葉に呟く暇もなく腕を引かれる。親御さんがどうとか考える余裕もなく先輩が鍵を差し込んだ部屋に押し込まれた。先輩の後ろでドアの鍵が閉められた音がする。その瞬間に、やっと視線がぶつかった。
「楽間はやめとけ」
「え?」
「俺と同類だろ。またクソ女どもに目ぇつけられる」
ゆっくりと距離を詰めてくる先輩に、思わず足が後ろへと後退する。その足が段差に躓いて、体勢を崩した。フローリングに倒れ込んだまま、尚も近づこうとする先輩に「ご両親は」と呟くと、呆気なく「独り暮らし」と返された。
「あいつで良いんなら、俺でも良いだろ」
「せんぱい……?」
「何で俺じゃねえの」
とても、今まで見たような先輩とは思えない呟きだった。まるで本当に私がすきでたまらないみたいな声だ。壁に張り付いた背が逃げ道を失くした。そのまま左右に先輩の手がついて、本当にどこにも行けなくなる。視線がぶつかって、これ以上ないくらいに熱い瞳に胸が震えあがった。
「お前さ、俺みたいなのが無理で我慢してたんじゃねえの? 何で楽間なんだよ。……全然あきらめらんねえ」
「あいつじゃなくて俺にすりゃいい、菜月が良いなら、クソ女が近寄る暇もないくらい傍に居てやるから」



